基本的教育力の基準枠組み

基本的教育力の基準枠組みとは?

基本的教育力の基準枠組みとは、「新潟大学の教員が、本学の教育理念『自律と創生』を実現すること、学問を愛し、学ぶ喜びを学生や他の教職員と分かち合うコミュニティを構築することを目指し、教育実践を行うための目安」でありこの枠組みをもとに、新潟大学が「研修プログラム等を体系的に設計し、その実施をもって基本的教育力の向上に取り組む」ことを目的としています。
基本的教育力の基準枠組みは、私たち新潟大学教員の「良い教育実践や効果的な学習支援についての自律性と能力の根拠を示すもの」(Baume,2009*)です。

前文:枠組みの位置づけ

・この枠組みは、新潟大学の教員が、本学の教育理念「自律と創生」を実現すること、学問を愛し、学ぶ喜びを学生や他の教職員と分かち合うコミュニティを構築することを目指し、教育実践を行うための目安である。
・この枠組みをもとに、新潟大学は、研修プログラム等を体系的に設計し、その実施をもって基本的教育力の向上に取り組む。

基準枠組み

【平成21年2月27日版】

  科目レベル・授業レベル 課程プログラムレベル
Ⅰ.
大学、学部等の教育理念、目標、および社会のニーズ等に照らした教育プロセスの設計を行う。
・専門分野の教育内容についての知識、科目や授業の設計のための基礎知識、および受講する学生の学習状況に関わる基本情報をもつ。

・大学や学部等の教育理念のもと、自ら信念をもって科目や授業の設計を行う。
・専門分野の教育内容についての知識、科目や授業の設計のための基礎知識、および受講する学生の学習状況に関わる基本情報をもつ。

・大学や学部等の教育理念のもと、自ら信念をもって科目や授業の設計を行う。
Ⅱ.
学生の学習を促進する授業の実践および運営(指導・支援・フィードバック・成績評価・学習環境づくり)を行う。
・学生の学習を深める指導や支援の方法、授業運営の方法、評価方法についての基礎知識をもつ。

・学生の学習を動機付けて促進するため、学習のプロセスに関する論理的な根拠をもち、学生の考え方、努力に配慮した教育実践、および学習環境 づくりを行う。

・学生に学問をする喜びを伝え、熱意をもって授業実践に取り組む。
・課程プログラムの管理運営方法およびプログラム管理運営者の役割についての基礎知識をもつ。

・コーディネーターなど多様な役割を果たしながら、課程プログラムの運営に参画する。
Ⅲ.
学生の学習や教職員間の学習を尊重したコミュニケーションを行う。
・学生の学習に効果的なコミュニケーションやプレゼンテーションの意味や方法について基礎知識をもつ。

・学習者としての学生を尊重し、公正・公平に対応する。
・集団や組織におけるコミュニケーションの方法について基礎知識をもつ。

・相互に学びあう教育担当集団として、同僚と十分なコミュニケーションを図る。

・教育担当部局内外の学生や同僚の人格を尊重し、公正・公平に対応する。
Ⅳ.
大学教育の専門職業人(プロフェッショナル)として教育改善・自己開発を行う。
・専門職業人(プロフェッショナル)のあり方について基礎知識をもつ。

・継続的かつ適切な教育改善のための、目標設定、計画及び実行、評価などにもとづく省察を行う。

・大学教員としての専門職業人(プロフェッショナル)の意識をもって、日常的な自己開発に取り組む。
・課程プログラムの質の保証の意味や方法についての基礎知識をもつ。

・教育の質の保証、ならびに質の向上の観点に立ち、課程プログラムの改善に取り組む。

・教育担当部局における自身の役割を理解し、組織的な教育改善に努力する。

基準枠組み作成のきっかけと、作成の過程

この基準枠組みは、全学の教員からあげられた問題意識、解決のための方針に基づき、全学の中にすでに存在していた教育実践にかかわる知識を統合し、体系化する過程を経て作成されました。

1.「FDのためのFD」ワークショップで、問題提起と現状を変えるための方針づくり

この基準枠組みを作成することとなった最初の契機は、平成18年12月14日に行われた全学FDワークショップ「学士課程および大学院教育実質化でのFDを問う」(通称「FDのためのFD」)において、参加した各学部からの教務委員など教育担当代表者から出された次のような問題意識にありました。
「何のためにFDをするのか、FDによって何を改善するのかが明確になっていない。」
「FDのためのFD」参加者は、次にこれらの問題意識に応え、現状を変えるための方針について議論しました。その中で、1つの方針として次のことがあげられました。 「全学におけるFDの構造、その目的、目標を明確化すること。」

2.目指すFDのあり方の提示

「FDのためのFD」において、新潟大学として最終的に目指したいFDのあり方が次のように総括されました。
「FDとは、個々の教員にとって永続的な自己改善の場であるとともに、大学として教員を支援し、学生や教職員を含めて大学という組織の力を高め、最終的に大学の教育目標を達成するための場である。」

3.「FDのためのFD」における成果を受けての取り組み開始

大学教育開発研究センター(現学位プログラム支援センター、以下センター)から全学FD協議会へ、センターでの国内外の教育力向上の取り組みについての調査研究の成果をもとに、本学における基本的な教育力の全体を示すもの(仮称「基準枠組み」)の作成を提案しました。さらに、この作成の作業を柱とする概算要求事業をセンターが代表者となって計画しました。それにより、この基本的教育力の基準枠組み作成は、平成20年度からは、この概算要求事業の一環として、位置づけられました。センターは、各学部、研究科の協力を得て、同年7月より平成21年にかけて、学部など教育担当部局ごとの事業説明会を実施しました。

4.基本的教育力に相当する各学部での教育実践の知識・情報を収集

各学部、研究科で共通認識または暗黙知として共有されている基本的教育力の基準に相当する情報、たとえば各教育担当部局で行われている教育賞の基準、新任向け研修の学習目標などを、センターが収集し、分類、整理しました。

5.名称の承認と、内容についての議論

平成21年1月の全学FD協議会において、それまで検討課題の1つであったこの本学における基本的教育力の全体を示す名称について「基本的教育力の基準枠組み」とすることが承認されました。基準枠組みの内容については、全学FD協議会の委員を通して教育担当部局の教員との議論が進められました。
その議論において、全学FD協議会委員を初め教員の中から、「この基準枠組みは、私たち新潟大学の教員が教育者としてどうあるのか、どうありたいのかを示す『目安』である」という声が聞かれるようになりました。

6.基準枠組みの内容(前文を含む)についての全学FD協議会における承認

平成21年2月の全学FD協議会において、「基本的教育力の基準枠組み」内容の案が承認されました。

基準枠組みの運用について

この基準枠組みを用いて具体的にどのように教育力向上に取り組んでいくのか、その方針の決定は、学部や学科、研究科など各教育担当部局が行います。センターは、枠組みに基づくプログラム等のメニュー案を提案するとともに、学部等の状況や要請にあわせて協力していきます。

***

Baume,D.,Development and benefits of a teaching standards framework,
新潟大学第23回全学FD教育コンピテンシー開発支援事業シンポジウム
「大学における基本的教育力の基準枠組み作成の意義と今後の課題」,2009年5月2日