確かな専門の学びと幅広い学びを実現するメジャー・マイナー制

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2023.12.14

マイナー学修を意識したゼミ選び

法学部2年のTです。
法学部では、例年10月末頃からゼミの見学が始まり、12月の中旬に面接やGPAなど、様々な選考を経て所属ゼミが決定し、それぞれのゼミで3年次の必修科目である「法政演習Ⅰ」「法政演習Ⅱ」、4年次の「卒業研究Ⅰ」「卒業研究Ⅱ」及び「ジュニア・リサーチ・ペーパー」を履修します。
私は「ダイバーシティ&インクルージョン社会の実現」をテーマとした学修創生型マイナーを履修していることを踏まえ、これまでの社会で差別を受け、生きづらさを感じていた、性別、人種、障がいの有無などの「違い」をもつ人々の人権保障について学びたいと思い、憲法ゼミを選択しました。

次に、ダイバーシティ&インクルージョンと憲法が関わり合う論点の中で、私が強い関心を寄せている「性」についての憲法問題を紹介します。
 
【社会生活に存在するジェンダー・バイアス】
性別に関する差別においては、再婚禁止期間の規定(2024年4月に廃止)をはじめとした女性に対するものがしばしば取り上げられます。一方、男女で労働災害により顔に傷を負った場合の補償金額や遺族基礎年金の父子家庭の除外(2012年に「配偶者又は子」に改正)など、男性に対するジェンダー・バイアスにもとづいて設計された制度もあり、憲法14条1項の法の下の平等の観点から問題になっています。

【同性婚】
近年、LGBTQ+への理解促進が社会全体で取り組まれており、同性婚は認められるか否かについての議論も盛んになっています。自治体レベルではパートナーシップ制度が導入されているところも増えてきているものの、憲法の観点からは、異性婚と同性婚の間で生じている取扱いの違いが合理的でなく、上記と同じく14条1項違反ではないかといった見方がなされています。

性差別は男女関係なく被害者になり得る問題です。また、LGBTQ+といった性的マイノリティばかりに焦点を当てるのではなく、全ての人の性的指向と性自認を包括するSOGI(ソジ)という概念で議論してもよいのではないでしょうか。マイナー学修を通して、全ての人が「性」に関する当事者意識をもつことがダイバーシティ&インクルージョン社会の実現のために重要なのだと考えるようになりました。

日本国憲法の施行から70年以上経った現在、当時の価値観とのズレや想定されていなかった様々な人権についての問題が発生しています。今後そのような問題に対し、裁判所がどのような判決を下すのかにも注目しながら、ゼミでの学びで人権意識を高め、マイナー学修に活かしていきたいと考えています。