入学した学部の主専攻プログラムで学ぶ専門分野のことです。
メジャー学修は2年次から本格的にスタートします。(主専攻プログラムの決定時期は、学部によって異なります。)
メジャーとは異なる専門分野の学び、分野や専門領域の枠を越えた幅広い学びのことです。
自分で設定したテーマを探究したり、メジャーと掛け合わせてイノベーションを模索したり、学びのありかたは十人十色です。
新潟大学で開講されている科目の中から、マイナー学修に適した科目を選択して、マイナー学修デザイン(履修計画)を作成します。オリジナルの履修計画をデザインすることが、「オーダーメイド型」のゆえんです。
まずは必修科目の「分野横断デザイン」の受講を通して、自分の興味・関心や問題意識を起点に探究課題を見つけ、マイナーとして履修する科目を選択し、履修計画を立てます。マイナー科目履修の終盤~終了後に、「分野横断リフレクション」(必修:3, 4年次在籍中のいずれかの学期で履修)で、自分の学びを振り返ります。
学修創生型マイナー
青柳 匠馬さん2022年度入学 法学部/栃木県出身
テーマは「地域住民と協力した防災活動によるまちづくり」
防災活動への関心があったからです。高校時代にボランティア活動で福島の被災地を訪れたのですが、沿岸の景色を目にして被災の現実を実感したことが原点にあります。その後、地元の栃木県小山市で大雨による大規模な浸水被害が起こり、身近な人たちが被災するという経験を経て、日本赤十字社の防災教育プログラムに参加しました。そこで学んだのは、同じ日本でも地域によって災害のリスクが大きく異なるということです。将来は防災に関わる仕事がしたいと思い、マイナーで防災への理解を深めたいと思いました。
「現代社会論」を履修しました。社会学の講義なのですが、「災害の社会学」という授業回で中越地震を経験した地域コミュニティの復興例が印象深かったです。震災という非常時に力を発揮できたコミュニティは、震災以前から町内会や婦人会での活動を通して人と人とのつながりが強かったことを知り、まちづくりの大切さを学びました。
2022年の夏に、地元の同級生や部活の後輩たちとボランティア団体を立ち上げました。まだ立ち上げて間もないので(インタビュー時は2022年11月)、ほかの団体が実施している活動(小学生の夏休みの学習支援、ナイジェリアの教育支援のための物販活動など)のサポートをしていますが、将来的には自分がマイナーで得た知識を実践する場になれば、と考えています。
顧客一人ひとりに寄り添うような父の仕事ぶりを見ていて、損害保険業界への就職を考える一方で、大学院でコミュニティデザイン学を学び、防災の理論と実践をさらに深めることも視野に入れています。さらに長期的な将来ビジョンとしては、地方議会議員として行政や立法の面から防災を推し進め、地元に貢献したいと思っています。
毎日授業を入れていて、2コマ連続開講の授業が多いです。「民法Ⅰ」は講義が主体の授業なのですが、先生の教え方が分かりやすく、興味を持って受講できました。 大学での授業のほかに、法学部の「法律相談部」で週3日ほど活動しています。また、ライターのアルバイトをしているので、1日2時間くらい記事を書く時間にあてています。 こうした課外活動を含めても、両立を大変だと思ったことはありません。負担が増えるわけでもないし、自分の興味ある分野を集中して学べるので、大学生活をより有意義なものにできています。
【1年2学期(第3ターム)の時間割】
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 行政法Ⅰ (2コマ連続開講) |
【マイナー履修】 現代社会論 (2コマ連続開講) |
憲法Ⅰ (2コマ連続開講) |
ジェンダー論 (2コマ連続開講) |
|
2 | |||||
3 | 多文化間共修A | データサイエンス 総論Ⅰ |
民法Ⅰ(民法総則) (2コマ連続開講) |
新潟地域の魅力を探る (2コマ連続開講) |
|
4 | |||||
5 | |||||
6 |
テーマごとにパッケージ化された科目リストの中から、自分で科目を選択し、計画的に履修を行います。
パッケージ型マイナー
田代 愛理さん2022年度入学 法学部/福島県出身
パッケージ型マイナー「ふるさと共創学」
地域活動に携わりたいと思ったからです。小学生のころから、地域を学ぶプログラムに参加してきました。小学5年生のときには、地元いわき市の熱気球イベントで、ボランティアの一員としてはじめて運営側に回りました。中学時代には、「いわき生徒会サミット」のワークショップで他校の生徒とプロジェクトをおこなったり、「いわき志塾」で各分野のスペシャリストらによる講話やワークショップを通じて、多くの学びを得たりと、地域や様々な人びとと関わっていることが日常でした。高校生のときには、いわき市遠野町の伝統産業である遠野和紙の再興を目指す活動を友人とおこなっていました。大学でも、座って勉強する以外のこともやりたいと思い、地域と連携したマイナーのある新潟大学を選びました。
「ふるさと共創学」は、新潟大学の「ダブルホーム※」という取り組みをベースとするマイナーです。「ダブルホーム」は、所属する学部を第一のホームととらえ、地域活動を通して、大学の外に第二のホームを創ろうというプログラムです。現在、新潟県内で16ホーム、山形県で2ホームの計18ホームが活動していて、わたしは新潟市中央区の万代地区で活動するNホームに所属しています。
※ ダブルホーム:https://www.iess.niigata-u.ac.jp/dh/
1年生の1学期・第1タームで「ダブルホーム活動入門I」を受講しました。コロナ禍の影響でオンライン授業が主流だったときに、この授業は対面で開講されました。地域について考えるだけでなく、ディスカッションの機会も多くありました。大学に入ってからの貴重なグループワークの機会だったので、とても印象に残っています。
同じ志を持った仲間に出会えたことです。わたし自身、小学生のころから地域活動を続けてきて、活動していないと「消化不良」という感じすら覚えていましたが、ダブルホームでは、そんな自分よりすごい人に出会います。2021年から活動の始まったNホームには、新しいことに取り組む余地がまだまだあります。仲間とは「いつか自分たちの企画もやりたいね」と話しているところです。
地方公務員として、観光という面から地域にかかわって働きたいと思っています。
月曜日から金曜日まで毎日授業を入れています。水曜日4限の「日本酒学A」は、新潟の代表的産業である日本酒について、さまざまな学問領域から学ぶことのできる講義です。人気講義のため受講者は抽選で決まりますが、運よく受講することができました。書道部で活動しているほか、週1回開催されるダブルホームのミーティングにも参加しています。両立が大変というより、受講したい授業の開講時限が重なってしまい、どちらかを選ばなくてはならないのが悩みどころです。
【1年1学期(第1ターム)の時間割】
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | |||||
2 | 環境政策論 (木曜2限とセット開講) |
環境政策論 | 中級 コミュニカティブ英語 |
||
3 | ビジネス書道入門 | 初修外国語 (ドイツ語) |
|||
4 | スタディ・スキルズ (木曜4限とセット開講) |
日本酒学A | スタディ・スキルズ | ||
5 | 【マイナー履修】 ダブルホーム活動入門 |
政治学 I (金曜5限とセット開講) |
政治学 I | ||
6 | 分野横断デザイン (隔週開講) |
新潟大学には、分野横断を目指す先行プログラムとして「副専攻プログラム」があります。2021年度に「学修創生型マイナー」、「パッケージ型マイナー」が新設されたのを機に、「副専攻プログラム」は「オナーズ型マイナー」という名称に変わりました。「オナーズ」(honors)とは、「優秀な学生を対象とした」という意味です。くわしくは、「よくある質問(FAQ)」を参照してください。
オナーズ型マイナー
笹森 玲那さん2021年度入学 理学部 物理学プログラム/青森県出身
オナーズ型マイナー「医学物理学基礎」
理学部では、「理学スタディ・スキルズ」という科目が1学期第1タームの必修科目となっています。この科目は、文献の探し方やレポートの書き方など、大学での学びで必要になるスキルを習得するだけなく、理学部の各主専攻プログラムの特色について学ぶものです。この授業で物理学プログラムと関連するマイナーとして「医学物理学基礎」があることを知り、履修してみようと思いました。
「放射線治療技術学I」です。がん治療をはじめとする放射線治療全般について、医療現場での実例も扱うような専門的な内容です。医学部保健学科の放射線技術科学専攻の学生向けの科目ですが、先生の説明には、理解を促すような工夫が凝らされているので、理学部生でも授業についていくことができています。
学部卒業後は、大学院に進むことを視野に入れています。いま「医学物理学基礎」を履修しているので、せっかくならこの学びを活かした仕事がしたいと思っています。
「医学物理学基礎」は、その名の通り、「医学」と「物理学」を並行して学んでいるという感じで、個人的には「メジャー×マイナー」というより、ふたつのメジャーをやっている感覚に近いです。 大学での授業のほかに、カフェでアルバイトをしたり、書道の通信講座を受けたりもしています。
【2年2学期(第3ターム)時間割】
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 医療英語ベーシック | 【専門】熱力学 A 【兼・マイナー】 |
【マイナー履修】 放射線治療技術学 I |
||
2 | 【専門】物理学演習C 【兼・マイナー】 |
||||
3 | 【専門】複素解析 【兼・マイナー】 |
【マイナー履修】 医用画像工学 |
【専門】 波動とフーリエ解析 【兼・マイナー】 |
||
4 | 【専門】 量子力学序論A 【兼・マイナー】 |
【マイナー履修】 医療と画像技術 |
書道講義及び実習 II | ||
5 | 【専門】電磁気学 IIA 【兼・マイナー】 |
中級コミュニカディブ英語 | |||
6 |
オナーズ型マイナー
Cho Yunbinさん2020年度入学 人文学部 言語文化学プログラム/韓国出身
オナーズ型マイナー「データサイエンス」
入学前から副専攻(現・オナーズ型マイナー)があることを知っていたので、理系の副専攻を履修しようと決めていました。理由は、ユヴァル・ノア・ハラリの著作を読み、今後のグローバル社会で活躍するためには、人文科学の想像力と自然科学の考え方の両方を身に付ける必要があると考えたからです。 そこで、「電子・情報科学」の履修を始め、10単位ほど修得しました。2年生に進級した2021年度に「データサイエンス」が新しく開設されたのを機に、「データサイエンス」の履修に移りました。
メジャーである言語学への関心がその理由です。近年、自然言語処理技術(※)に大きな発展があり、パソコン上で言語を処理するという重要なタスクに、従来の言語学知識がそれほど使われなくなりました。長らく人間の言語を扱ってきた言語学と、現代に登場した自然言語処理技術の間のギャップは何なのか。その疑問を解決するために、人間の言語だけでなく、コンピュータ言語を学んでみようと思いました。
※ 自然言語処理技術:人が日常生活で使っている話し言葉や書き言葉(=自然言語)の意味をコンピュータで解析する技術のこと。文字入力の予測変換やチャットボット、音声アシスタント(Siri, Alexaなど)に活用されています。
もちろん感じました。履修科目の多くが理系学部で開設されていることが第一のハードルでした。また、理系と文系科目の結びつきが多くないため、勉強の時間を十分に取らないと講義の内容を理解することすらできません。文系科目ではあまり使われない微分・積分の理解も必修でした。
確かに文系学生にとってデータサイエンスの履修は簡単ではありませんが、大きな可能性があると思います。文系学生がデータを見て加工の仕方をわかるようになれば、文系の想像力を加えて、新しいアイディアを生み出せるのではないでしょうか。
私の場合、言語学ゼミを聞きながら色々なアイディアを考えてみます。例えば、一般言語学ゼミでは論文に対する反例や議論を提示して討論する時間を持ちます。このような反例や議論を集めてデータ化したうえで、統計学的にアプローチしてみたら面白い結果が見えるかもしれない、と考えています。
アイディアを出すこと以外にも、文系学生がデータサイエンスを学んだらできることは多く存在しています。理系の専門家と協力できるようになる、自分の関わる分野が技術発展に伴ってどのように変化していくかがわかる、研究をより楽にできる技術を導入できるなど、メリットが数多くあると思います。
インターン先は、株式会社BSNアイネットの技術開発部です。インターンシップの期間は約6週間でした。わたしは、AIを活用してケアプランを作成するためのシステム開発に従事しました。介護保険サービスの利用にはケアプランが必要となりますが、その作成を担っているのがケアマネージャーです。ケアプランの作成には、要介護者の状況や課題の把握、サービス事業者との調整など多岐にわたり時間と手間がかかるため、システム開発の目的はその支援となります。
この業務を担ってきたケアマネージャーには、専門家としての経験や知識があるはずです。そこで、他部署との会議にも参加し、単にシステムとしての効率化を図るだけではなく、携わる人びとの共感を得るために、蓄積されたデータをどのように活用・表示できるのかをじっくり考えて、考えたものをプログラムに反映してみました。その結果、最終日の発表会で「チョさんのプログラムを引き継ぎたい」という言葉をいただきました。
プログラミング手法はデータサイエンスでの学びに基づきます。また、じっくり考えた結果をインターフェースで表すことが人文学部での学びです。インターンシップを通して、ふたつの学びの掛け合わせを実践できたと感じています。
大変なのは間違いないですが、両立可能だと思います。マイナーを学んで興味深かったのは、メジャーとマイナーで使っている脳が違う、という感覚があったことです。たとえば、専攻している言語学では、学期末課題としてレポートを書くことが多いので、じっくりと時間をかけて取り組みます。一方で、マイナーの理系科目は試験が多く、これまでの学修内容を理解した上で、時間内にシステムを解くことが求められます。両立することで、脳が鍛えられた気がしました。
集中講義の「データサイエンス・インターンシップ(事前・事後指導)」は、「データサイエンス・インターンシップ」に参加する学生を対象とするものです。
すべての学生が参加できるように日程を調節して水曜日あるいは土曜日に開講されました。
【3年1学期(第1ターム)の時間割】
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 芸術表現論 (2コマ連続開講) |
【マイナー履修】 数学基礎A1 |
|||
2 | 英米言語文化演習 | 英米文化論A | |||
3 | 英米言語論B | 歴史学Q | 言語学演習 | ||
4 | メディアの記号論 (木4とセット開講) |
メディアの記号論 | |||
5 | 【マイナー履修】 プログラミング演習A,B |
哲学研究B | |||
集中 | 【マイナー履修】 データサイエンス・インターンシップ(事前・事後指導) |