確かな専門の学びと幅広い学びを実現するメジャー・マイナー制

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2023.09.11

主専攻ゼミでの裁判傍聴

 法学部3年のIです。私は7月上旬に所属しているゼミの学習の一環として、新潟地方裁判所で裁判を傍聴してきました。今回は、この体験とマイナー学修とのつながりについてお話します。

 私は法学部に所属していますが、実際の裁判を見るのは今回が初めてでした。裁判所に対しても、なんとなく怖いというイメージがあり、少し緊張しながらバスで現地へ向かいました。裁判の当事者のプライバシーに配慮する関係で、裁判の詳しい内容についてお伝えすることはできません。しかし、被告人もドラマに登場するような「悪人」ではなく、私たちの隣で暮らしていそうな「普通の人」であるということを肌で感じることができました。

 また、今回の裁判では検事よりも弁護士の方が厳しい口調で被告人と接していました。私の中に「弁護士=被告人を守る人」というイメージがあったのですが、同じように弁護士は被告人に対して優しく接するというイメージをもっている方にとってはかなり衝撃的な体験となるかもしれません。

 裁判の傍聴を振り返ると、主専攻プログラムの学修とマイナー学修とのつながりについて、大学の講義における学びに加えて、実際に体感する、やってみることの重要性について再確認することができました。私は現在、情報化社会における問題とその解決のためのアプローチについて大学の講義を通じて学修しています。座学の講義では、理論上はわかっていても実際のところはどうなのか、理論通りにうまくいくのかというところまではなかなか踏み込むことができません。私は特にSNSやインターネット上での人権などの権利侵害という問題に興味をもっています。これらの問題は、人間が自然科学における理論ようには行動しないからこそ起こるのであり、それゆえ実践的な学びが重要であると考えています。

 実際に経験したことがすぐに理論と関係づけられるわけではありませんが、これまで知らなかった観点を獲得し、そこから物事を捉えることができるようになる点は、今後の学びにとって、新たな発見や気づきの可能性を高める、いわば種を蒔くことにつながっている気がします。例えば、私は他者の立場から物事を考えることがあまり得意ではありません。しかし、上述したとおり、被告人を完全な他者として捉えるのではなく、私の「お隣さん」のように当事者の目線で考えることで、犯罪行為の理由や背景に関心をもつことにつながります。この視点を自分の中で一般化できれば、人間が引き起こす問題について、現実的な視点から捉えることができるようになると考えています。

 今回の裁判傍聴を通じて、大学の外での学びから新たな視点を得ることができました。今後のマイナー学修では、知識の蓄積と視野の拡大につとめ、さらに実際の現場に身をおくことで得られる知見を加えて立体的に組み合わせ、現実性のある学びとしてまとめることを追求していくつもりです。