NICEプログラムには、学修デザインに役立つ各分野の入門書を集めた「NICEライブラリー」があります。
毎月、ライブラリーから選んだ本を「今月のおすすめ」として紹介しています。
5月のおすすめは、『事例でわかる!食と農のマーケティング入門』と『日本発酵紀行』です。
『事例でわかる!食と農のマーケティング入門』は、フードビジネスについて、
Q&A方式で段階的に学ぶことのできる入門書です。
ここでいう「フードビジネス」とは単なる飲食業ではなく、農林漁業者による「6次産業化」としての
事業展開を指しています。
「6次産業化」とは、農林漁業者(1次産業)が、生産した農産物の加工や商品製造(2次産業)を行い、
それらの流通や販売(3次産業)まで担うことです。「6」は、1次、2次、3次を掛け合わせた数字であり、
地域ブランドの創出や農家カフェ/レストランがその例となります。
たとえば、本書で「Q」として挙げられているのは、次のような問いです。
「ブランドとは何ですか。『高い価格で販売できること』ですか」
「商品開発に取り組むとき、ターゲットはどう設定するのですか」
「商品開発における『マーケティング戦略』とは何ですか」
「プラットフォームサービスは、フードビジネスとどんな関連がありますか」
聞いたことがあるし、なんとなくイメージもできる。でも、はっきりとは答えられない。
マーケティングに関するそんな事柄について、「食」という、だれにとっても
具体的な経験がある地点から理解を深めることができます。
さて、『食と農のマーケティング入門』には、ブランド創出に欠かせない「ストーリー」について、
「自社や地域の自然条件、生産方法、文化において、品質に深く影響を与えているものは何かを
考える必要があります」
と書かれています。
そんなストーリーの「作品集」とも呼べるのが、『日本発酵紀行』です。
『日本発酵紀行』は、その名の通り日本各地の発酵文化を訪ねる旅行記です。
愛知・岡崎の八丁味噌、新潟・妙高のかんずり、香川・小豆島の醤油などの有名どころから
「知る人ぞ知る」一品まで、ものが生まれてくる背景が丁寧につづられていて、
生産者への共感とともに「食べてみたい」という欲求が湧いてきます。
カジュアルな文体から醸し出される風味も味わいどころです。
これといって特定の業種に興味があるわけではないけど「マーケティング」に関心のある人、
農村地域の活性化を自分の探究課題としてとらえている人におすすめです。
手にとってみたいと思ったら、お気軽にNICEプログラム スタッフ・オフィスまでお越しください!
(神田 麻衣子)