新潟県加茂市で行われている授業での取組が、地域と学生双方に変化をもたらしています。
集中講義「地方小都市の未来創造-市民と学生による地域づくりの実践」(「社会開放演習B」との同時開講)は、新潟県加茂市をフィールドとし、住民と対話を重ねることで学生自身が関心を持つテーマを見つけ、そのテーマに基づいて1人1人が活動を展開していきます。今年は7名の受講生が同授業に参加しています。
前回の記事では、受講生の中間報告会の様子をお伝えしました。今回は入学してから2年間、本授業を受講し、今年3年目の活動を始める学生の髙橋さん(経済科学部3年)と、担当教員の樋口先生へのインタビューから、本授業の魅力をお伝えしていきます。
髙橋さんは1年生のとき、地域活性化に興味を持ち、この授業に参加することを選びました。地元が栃木県である彼女にとって、新潟について知る機会でもありました。
加茂でのまちあるきでは、自然や商店街の魅力を感じる一方で、より地域活性化を進めていくために農業の問題解決が必要であると考えたそうです。特に、果樹農家の繁忙期における人手不足や、商店街で農作物を購入する常連客の高齢化とそれによる売り上げの低下などの問題が顕著であると感じていました。

そこで髙橋さんは、学生を募って収穫のお手伝いに行くことを考えました。実際、学生を十数名集めることに成功しましたが、天候やスケジュールの関係で活動がうまく進まず、それを活かせなかったことで、農家の方への申し訳なさを感じたそうです。
2年生でも同様の活動を続けましたが、うまくいかない状況が続いていました。しかし、髙橋さんは一時的な支援では人手不足が解消しないと考え、卒業後も継続して活動したいという強い思いを抱きました。
3年生になり、平日でも手伝いやすい加茂市の高校生や近隣の新潟経営大学生にもアプローチを行い、他の果樹農家も巻き込んだ手伝いの機会を増やすことを目指しています。
地域活性化と本授業の関係について、この授業の担当教員である樋口先生は、「今日の大学教育の役割の一つは、授業を有効なチャンネルとして、学生たちの地域参加を促していくことであると考えている。こうしたプロジェクトは学生と地域の住民が共に成長し、新たな価値を創造する素晴らしい取り組みであると思う。髙橋さんをはじめとする学生たちの活動が、今後さらに地域に広がり、持続可能な地域活性化支援となることを期待したい。」と話します。
またこの授業は、(樋口先生によれば)学生が「自分の殻を破る経験」をする場であり、学生にとってのコンフォートゾーン(=快適だが、他人から決められた役割や経験を与えられるだけの環境)を出て、一歩踏み出す機会を提供することが特色です。自分のプロジェクトを自分で決め、自己決定の機会を持つこと、人を巻き込んでリーダーシップを取る経験を通じて、地域と共に新たな価値を生み出していくことを目指しています。
「
自ら考えたアイデアを実際に形にして、それが地域にどのような影響を与えるかを体験し、学べる」こと、そして「
活動前にテストマーケティングを行ったり、活動後に参加者や市民からフィードバックを得て、次回の活動に生かしたりなど試行錯誤しながら、着実に成果を出していける環境が整っている」ことが、このプログラムの大きな魅力なのだと思います。
実際に一つのテーマについて、何ヶ月にもわたって継続的に考え抜き、行動に移し、フィードバックを得ながらプロジェクトを進めるという経験を持つ学生は非常に少ないと思います。
今年、7名の学生が計画するイベントや商品は、私たちも参加や購入などで関われるものもあります。
具体的な日程や内容は今後の活動で検討されますが、地域活性化に興味があり、本記事でこの授業の魅力を感じた方は、ぜひ学生が計画するイベントなどに参加してみてはいかがでしょうか。
【本件に関するお問い合せ先】
学務部教務課連携教育支援事務室
Email renkeikyoiku(at)adm.niigata-u.ac.jp
※(at)を@に置き換えてください